黒い影の女
■back
俺が20歳の時です。
そのころ俺は赤坂3丁目、けやき通りのケンチキの近くのアパートに住んでいました。
その時は夏ごろの夕方、まだ西日がガンガン照っている時でした。
俺は西日が入る部屋のベッドに横になっていました。
ベッドにもたれかかるようにして、すぐ横にその当時の彼女が本を読んでいました。
足元の方から西日が入り、その左側に部屋のドアがあるんですけど、そのドアが開いていて、そこから黒い霧というか、虫の大群みたいな黒い影が空中から部屋へと入って来ました。
俺は、
「何だ??」
と思いながら見ていると、それは段々、俺の枕もとの空中へ集まり始めました。
そして人の形になって枕もとに立った瞬間、ただの黒い人影なのに、
「髪の長い若い女だ!」
と分かりました!
そして、頭の上に投げ出した俺の両腕を掴み、俺に覆い被さるようにして、
「また来るね。」
そう言ってまた黒い霧のようなものに戻り、部屋の出口から出て行きました。
それまで俺は自由が利かなかった体が動き、喋れるようになったので、スグ横の彼女に今の出来事を話しましたが、彼女は全く普通に本を読んでただけで何も無かったと言います。
ただ、俺はなんかうめいていたようで、寝言なんだろうと気にも止めなかった様でした。
一体アレは何だったんでしょうか??
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