四十五之巻 散華する斬鬼 脚本:井上敏樹 監督:鈴村展弘 2005年12月25日放送
パネルシアターを見ている最中も明日夢の頭の中は、京介の事でいっぱいだった。

京介は馬鹿にされた腹いせに陰陽環の力を使い、あの男を殺したのではないか…?

持田に感想を訊かれても、気が散っていた為に答える事が出来ない明日夢と、
面白かったと答えるあきら。

そこへパネルシアター主催の女性が、明日夢とあきらに加入してくれと誘う。
ためらう明日夢だったが、その女性の小さな娘に頼まれると、何故か断る事が出来ず、
指切りをしてしまう。


「え?ザンキさんなら会ったっスよ、昨日の夜ー?」

トドロキからそう聞いたイブキとヒビキは、不自然に笑いながら、
ザンキが死んだのは勘違いだった事にした。

トドロキはザンキに「もう1度弟子になれ」と言われたことを2人に報告し、喜びを隠せない。

だが、笑いながらもイブキは何故か腑に落ちなかった…。


明日夢は京介に、陰陽環の行方を聞いた。
京介は否定するばかりか、証拠がないのに疑うのは鬼になる資格がないと言い出した。

また、京介は鬼になるのをあきらめたわけではなく、お前みたいな奴と比べられるのがイヤなだけだ。
そう言って立ち去っていった。


たちばなへ戻ったヒビキとイブキ。

日菜佳はトドロキを心配しているが、ヒビキは「ザンキさんがついてるから。」と答える。
それを聞いた日菜佳は、
何も出来ない自分が悔しい、こういう時は男同志の絆の方が強いんですかねぇ…。
そういいながら店の奥に引っ込んでいった。

そのやりとりを聞くわけでもなく、じっと考えにふけるイブキ…。


病室でトドロキの体をマッサージするザンキ。

捲り上げたザンキの腕には、梵字が…。それを見たイブキは「ザンキさん、まさか…。」

ザンキは無言で立ち去る…。


明日夢は京介に飛び掛った。
京介は、先日京介を馬鹿にしたもう1人の男の後をつけていたし、
その手首には陰陽環があったからだ。

2人は川原の土手を転がり落ちた。

2人は土手に寝転び、京介は明日夢に、何故鬼になりたいのかを訊いた。
明日夢は人助けをしたいからだと答え、京介にも同じ質問を返した。

京介の父親は消防士で、人を助ける為に火の中へ飛び込んでいき、帰らぬ人となった。
父親は京介にとってヒーローであり、その父を超える力が欲しいのだと。

明日夢は京介が陰陽環の力で仕返しをしたのを非難したが、京介は否定した。
そして、とにかく陰陽環は自分が使う。ヒビキさん、驚くぞ。と、なにやら思わせぶりな台詞を残した。


ヒビキとイブキはザンキの事で話し合っていた。
ザンキは『返魂の術』を使っているらしい。
死を自覚した鬼がこの術を使うと、また甦る事が出来る。

ただし、最初は生前と同じ記憶を保てるが、だんだんと意識が無くなり、最後には永遠の闇に落ちる。
この禁止された術はザンキの師匠で呪術に長けたシュキに教えられたと考えられる。

2人はザンキとトドロキのためを思い、トドロキにこの事を伝える事に決めた。


話を聞いたトドロキだが、素直に信じる事が出来ない。
ヒビキはトドロキに「自分の足で立って、復活をザンキに見せて、今度こそ弟子を卒業しろよ。」
そうアドバイスを送るが、トドロキは信じようとせず、2人に「帰って下さい!」と言うのだった。

しばらくして、バイクで走るイブキの携帯に、トドロキから電話があった。
リハビリ中に触れたザンキの手が、まるで死んでるみたいに冷たいんだと言う。
イブキはトドロキに言った。

ヒビキが言ったように、ザンキを救えるのは、トドロキだけだと。

トドロキは泣いていた…。


京介が、京介を馬鹿にしたもう1人の男に飛びついたのを見た明日夢は、それを止めようと叫んだ。
が、その男は魔化魍に狙われており、京介は陰陽環の力で助けようとしていた。
明日夢の勘違いだったのだ。


ザンキの助けを借り、リハビリをするトドロキだが、真実を知ってしまった今、
1人で大丈夫なのを見せる為に、トドロキはザンキの手を借りずに、1人で階段を上り始めた。

その時、病院が大きく揺れた。魔化魍だ。

ザンキは魔化魍と戦う為に外に出ようとしたので、トドロキは叫んだ。

「やめて下さい!行かないで下さい!もういいんスよ、ザンキさんは、もう戦わなくていいんっス。」

「だったら、止めてみろよ、俺を。お前の力で。」

そう答えてザンキは行ってしまった。

が、ほどなくしてトドロキはなんと、自力で立ち上がり、ザンキの後を追い始めた。

一旦は魔化魍から逃げた明日夢と京介だったが、2人の前には多数の魔化魍が現われた。
焦る2人だったが、そこへ響鬼と威吹鬼が駆けつけた。
響鬼は響鬼装甲に変化し戦い始め、威吹鬼と2人で、あっと言う間に魔化魍を一掃した。


変身し、魔化魍と戦い始めた斬鬼。
そこへトドロキも追いつくや否や、なんと今度は轟鬼へと変身し、戦い始めた!


京介はヒビキに陰陽環を返していた。
ヒビキは訊いた。
京介は魔化魍を倒そうとしたのに、何故、陰陽環を使わなかったのかを。

京介は答えた。「自分の力じゃないからです。」

陰陽環の力をどう使うかも修行の1つだったらしい。
京介が自分の力を信じて戦う事を知った事で、ヒビキは京介を誉めた。

京介が笑顔になったのを見てヒビキは言った。

「そう。強い奴は笑顔になれるぞ。」


戦いの最後は、斬鬼の雷電斬震と、轟鬼の雷電激震の合体技だった。
戦いが終ると、2人は無言でギターをかき鳴らし始めた。
轟鬼がリズム、斬鬼がリードで。

演奏が終わり、顔だけ変身を解いた2人。

「よくやった、トドロキ。ありがとう。」ザンキは頭を下げた。

「ザンキさん…。もう、大丈夫スから。ありがとうございました。」トドロキも頭を下げた。

ザンキが肩に触れると、ザンキは消えた。

一陣の風が通り過ぎた。残ったのは音枷と烈斬だけであった。

轟鬼は、ザンキの残した音枷と烈斬を抱き、叫んだ。「ザンキさーんっ!」

そして涙をこらえ、呟く。「俺泣かないっス、ザンキさんに心配かけないように。」

またも頭を下げる轟鬼。

風に吹かれた、沢山の枯葉は、なおも舞いつづけていた。


そして、ヒビキもまた、風が吹き、枯葉が舞う中、1人しずかに『シュッ』とするのであった。
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